新たに事業を始める方や現在事業をしていてもっと集客したい方にとって、ポスティングは近隣住民に宣伝ができる有効な宣伝方法です。
しかし、自由にチラシを作成していいというわけではありません。
今回はポスティング用のチラシを作成するにあたって、注意すべき法規制のポイントを各業種ごとに解説します。
またポスティングに関する情報を網羅した記事がこちらにありますので、他にも知りたいことがあれば確認してみてください。
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一般広告と業種別ポスティングチラシの法規制注意ポイント
広告には誤解を与えるような表記をしない、割引券とクーポン券は取り扱いが違うなど業種別ごとに法律で規制されています。
各業種の解説をする前に、一般的な広告において重要になる法律を説明します。
- 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
この法律は、不当な過大表現や事実とは異なった表現や誤った理解を与えかねない表現を規制して、公正な競争を促し消費者が適性に消費行動をとれる環境を守ることを目的にしています。
この景品表示法の規制は大きく二つに分けられます。
- 優良誤認表示の禁止
- 有利誤認表示の禁止
例えば、海外からの輸入肉を国産の牛肉であるように表示することなどが該当します。
例えば、セールのため5万円のジャケットを1万円と宣伝しておきながら、過去に同じジャケットを5万円で販売したことが無いなどの場合が該当します。
こうして見ると、虚偽のことをチラシに書かなければ問題がないかのように見えますが、この法規制を基準として見落としがちなポイントがあるので各業種ごとに解説していきます。
・学習塾
・保険商品
・不動産業者
飲食店
飲食店の宣伝において注意しなければならないポイントは、産地などの虚偽表示はもちろんですが、クーポンや割引券の付帯に関してです。
チラシを作成するうえで、クーポンなどの割引券は集客効果を高めるために効果的な手段です。
しかし、クーポンなどは法律上景品として扱われ、くじや懸賞によらずチラシなどに添付して提供されるので「総付景品(そうづけけいひん)」と呼ばれ法規制の対象になります。
その内容は、1000円未満の取引額に関しては景品の額が最高で200円まで、1000円を超える取引額では、その額の20%までと決められています。
例えば、5000円のフレンチのコースに1100円のデザートの無料券は取引額の20%を超えてしまうため付けられません。
ただし、1100円の割引券であれば値段の割引は『景品』にあたらないので景品表示法の適用にならず、チラシにつけることが可能です。
さらに、時間帯を限定したクーポンや割引券をチラシに付ければ来客数を調整することも可能ですので、法規制に注意しながら、こちらの記事を参考に行列のできる飲食店を目指してください。
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学習塾
学習塾において注意しなければならないポイントは、不当景品類及び不当表示防止法に準じています。
学習塾の宣伝内容において根拠となる調査結果が無いにもかかわらず、『地域ナンバーワン』『県内トップの進学校に〇〇人合格』などの表現は優良誤認にあたる可能性があります。
実際に優良誤認として消費者庁が措置命令を出した例として、ある学習塾が『国立大出身講師が98%を占める』と宣伝しておきながらも、実際は国立大学の現役学生アルバイトも含めなければ98%にならなかったので、消費者に誤解を与える表現だとして処罰されました。
また、学習塾の料金に関しても『キャンペーンにつき入塾料無料』と宣伝しておきながら、実際に申し込む際には登録料や手続き費用と称して同等額の請求などをすることは有利誤認表示の禁止に該当する可能性が高いです。
このようにチラシは法律に沿った表記にしますが、生徒の保護者などターゲットを絞り宣伝することで反響率を上げられますので具体的な人物像(ペルソナ)の例がこちらにあります。
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保険商品
保険商品において注意しなければならないポイントも不当景品類及び不当表示防止法に準じています。
例えば、『どんな場合でも保険金がおります』と宣伝しておきながら、被保険者の年齢や契約からの年数、入院日数、対象となる病気によって減額や給付対象にならない場合が該当します。
チラシに書かれていたとしても、著しく小さな文字で書かれていると判断されてしまった場合は規制される可能性があります。
また、厚生労働大臣の定めた先端医療を受けなければ給付事由として該当しないなど、医者の診察の内容よって給付されないことがある場合はその旨を必ず明記しなければなりません。
さらに、保険料の安さを宣伝する場合、主に契約するであろうターゲット層から大きく異なる年層の保険料を例としたり、本来のターゲットの保険料を明記しない、または著しく小さく表記している場合などは有利誤認表示に当たる可能性が高いといえます。
不動産業者
不動産業者において注意すべきポイントは、景品表示法の他に宅地物取引業法(宅建業法)と不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)の規制があります。
まず、景品表示法に抵触する可能性の高い宣伝として次の3つが挙げられ、法規制対象になりかねないので注意が必要です。
- 実際には存在しない住所や物件
- 実在しているが、もう既に売却済みであるような、販売できない物件
- 実在している物件を表示しているが、その物件を売却する意思はなく、他の物件を勧めて、宣伝している物件を売却に応じない場合
加えて、宅地物取引業法(宅建業法)32条ではいくつかの要件に該当する誇大表現が禁止されています。
例えば『駅から◯キロメートルの物件』とチラシに書かれているが、実際は駅からの直線距離だった場合や、公式発表が無いにも関わらず近い将来に新駅の開通があり、交通の利便性が高まるような表現をした場合に広告規制に抵触する可能性が高いです。
また、チラシに書かれている宣伝文句が表示規約に違反しないか注意が必要で、具体的例として次の3つを紹介します。
- 『最高』や『絶対』など欠陥が一ミリも無いような表現
- 『業界初』『地域ナンバーワン』などの客観的な調査実績が無いにもかかわらず他社と比較して自社を優位にみせる表現
- 『激安』『破格』などの著しく値段が安いと表示されているが、その安さになる理由(大きな欠損があるなど)が同時に表示されていない場合
不動産物件を宣伝する上で、つい過大な表現を使いがちなので表記の仕方には注意が必要です。
不動産の宣伝にはポスティングは有効で、他社と差をつけるための戦略やデザインポイントなどがこちらにありますので表記に注意して参考にしてみてください。
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医療系におけるポスティングチラシの法規制上の注意ポイント
医療系業種は、その専門性や医療行為という一般人には高度なサービスになります。
ポスティングを含めた宣伝に関する法規制は他業種よりも厳しいといえ、医療系の業種を例に挙げて解説していきます。
・整骨院・鍼灸院
・薬局
・介護施設
病院・美容クリニック
病院や美容クリニックの広告は景品表示法のみならず、医療法によっても細かく規制されており、押さえておくポイントを紹介します。
『必ず治る』などのワードは絶対に回復することを保障すると思わせるため用いることができません。
治療を受けた患者の体験談や公の場でない医師の話なども根拠のない個人の感想に過ぎないのでチラシに書くことはできません。
また、治療のビフォーアフターの写真を載せることも、見た人に必ずその結果や効用を得られると勘違いさせる恐れがあるのでできません。
ただし、その内容や費用、副作用を含めたリスクを明確に記載すれば、ビフォーアフターの写真を載せられます。
写真がダメでも絵なら良いと思いますが、絵であっても元気な人のイラストは回復を保障する印象を与えてしまう恐れがあるのでNGです。
このように、かなり細かく規制されているので、広告規制に触れない範囲で集患率をあげるチラシ作りが重要になってきます。
整骨院・鍼灸院
整骨院での施術や鍼灸などは『医療行為』ではなく、『医業類似行為』にあたります。
このため、『クリニック』などのワード使用はチラシを見た人が医療機関と勘違いしてしまうため禁止されています。
他にも『診察日・診療時間・初診』なども医療機関で使われるワードなので、整骨院や鍼灸院の広告には使用することができません。
また、ビフォーアフターの写真を載せることや『地域ナンバーワン』などのワードは誇大表現として判断されるため記載できません。
自院の強みを宣伝したくなると思いますが、『〜式』や『〜流派』などの表記は具体的な施術内容の記載にあたり禁止されています。
また『〇〇大学卒業』や『〇〇学会所属』などの表記も他の整骨院や鍼灸院と比較し、優位にみせようとしていると判断される可能性があるので、控えましょう。
薬局
薬局のチラシは薬事法によって規制がされていますので、重要なポイントをおさえてチラシを作成しましょう。
医薬品や医療機器の名前やその効果に関して『絶対に治る』『100%の効果保障』などのワードは欠損が無い完璧な薬や医療機器と消費者に認識させる恐れがあるので使用できません。
薬を服用するにあたっては通常一般人では持ち得ない高度な専門的知識が要求され、がんや白血病などの医薬品は医療関係者ではない一般人に対して広告することが禁止されています。
まだ承認されていない医薬品、医療機器については名前やその効果に関しての広告は禁止されています。
また『飲めば飲むほどに効きます』などの過度に医薬品を消費、濫用することを誘うような広告や、他社製品と比べて自社製品を優位にみせる広告、『〇〇医師が推薦』などの医療関係者の推薦表現も、一般消費者にとって専門家の意見は正しいと認識する可能性が高いため禁止されています。
以上のように薬局におけるチラシ広告で注意しなければならないのは、宣伝する医薬品についての規制が主たるものです。
クーポン券やサービス券に関しては景品表示法の適用範囲になるので、その内容には十分注意しましょう。
介護施設
有料老人ホームなどの介護施設の宣伝で注意しなければならないポイントは、消費者庁もガイドラインを出しているほど細かく規程されています。
ここでは、その要点といくつかの例で解説していきます。
介護施設の広告において、利用者が勘違いをしてしまう表現は禁止されています。
また施設の人員数、利用料金などサービスに関する広告は、その内容を明確に示さなければなりません。
例えば、『部屋から山や海が見えます』などの表現をしていながら、実際に景色が見える部屋が限られていた場合は誤認させる広告と判断されて規制される可能性があります。
プールやジムがあるとチラシに書いていても実際は介護施設近辺にある施設のことであったり、利用ごとに料金が発生する場合はその旨を明確に記載しなければなりません。
スタッフの人員数に言及する場合は常勤で何人なのか、夜間勤務時は何人になるのかなど、正確に明記する必要があります。
また、定期的に医師や医療関係者の問診等がある場合は、その病院名や医師名などを明確に記載しなければなりません。
さらに、『絶対』や『極上の生活』などの欠点が全くないようなワードは誇大広告として規制される可能性が高いです。
業種別ポスティングチラシ作成上の注意ポイントまとめ
・内容が実際とは異なっていたり、『最上』や『絶対』などの誇大なワードは禁止されています。
・クーポンなどのサービス券はその内容にも上限があり、また他社を貶めて自社を良く見せるような表現は禁止されています。
・医療系業種の広告は、その専門性の高さから広告表現に厳しい法規制がされています。
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