ポスティングは広範囲にわたってチラシを配布することができ、取ってもらえるか分からない街中でのビラ配りに比べると確実性の高い手法です。

なぜならポスティングは個人宅のポストに投函されるため、ポストから取り出した際に見てもらえる可能性が高いからです。

ポスティングは不特定に広く拡散することも相手を限定して配ることもできますが、どちらの手法かによって「配付」と「配布」の言葉を使い分けます。

今回はポスティングの類語には「配付」と「配布」どちらが適切かについて説明します。

ポスティングの類語は「配付」と「配布」のどちら?2つの意味の違い

ポスティングを日本語で訳すとポストにチラシや手紙などを「投函する」です。

意味に応じて「配付」と「配布」の表記を使い分ける必要がありますが、2つの漢字は類似しているので誤って使用しないように注意しましょう。

ポスティングの類語としては「配布」が適切です。

なぜ「配付」ではなく「配布」が適切なのか、用語の違いについて簡単な例文を使って説明します。

・配付の意味
・配布の意味

配付の意味

「配付」は1人1人に手で配ることや、特定の限られた相手に行きわたるように配ることを意味します。

配付の「配」は「くばる。割り当てる」の意味で「付」には「手と手で人にものを渡す」「そこまで持っていく」という意味があります。

配付には不特定多数に広く分散させて配る意味はありません。

例文としては、「会議の参加者に対して個人IDと会議資料を配付する」や「学校の生徒にテスト用紙を配付する」などがあります。

渡す相手が特定している場合に使用する言葉なので、不特定多数の家にチラシをポスティングする場合、「配付」を使用するのは適していません。

配布の意味

配布の「布」には「一面に広げて行きわたらせる」という意味があり、「配布」とは不特定多数の人へ行きわたるように配ることを意味します。

ポスティングは不特定多数に行き渡るように配る行為なので「配布」が適切です。

例文としては、「A団地からC団地までのエリアの家に無料券を配布する」や「野球日本代表が金メダルを獲得したので、街頭にて号外を配布する」などがあります。

ただし、国や地方公共団体が使う文書や法令などの公用文では昭和29年11月以降に制定された法令用語によって、「配付」は交付税のような特定のケースを除き「配布」を使用することで統一しています。

したがってテレビやニュースではすべて「配布」を使用します。

また「配付」「配布」ともに英訳すると「distribution」となり、英語での意味の使い分けはなく、英語では「配る」という大きな意味で使用します。

英訳の例文を2つ挙げます。

「生徒にテスト用紙を配付する。」
Distribute test papers to students.

「駅でチラシを配布する。」
Distribute leaflets at the station.

例文のように日本語では「配付する」と「配布する」の使い分けがありますが、英語では両方とも「distribute」です。

ポスティングの類語は「配布」しかし「配付」が使える場面もあり!

ポスティングはチラシを配る範囲やターゲット層が決まっていても、不特定多数へ向けてポストに投函を行う点で類語は「配布」です。

しかし、ポスティングの相手方が既存顧客であるなど個人が特定されている場合は「配付」を使用します。

不特定の人へ広く行きわたるように配るのでは無く、特定の個人へ配ることを目的としているからです。

例えば、野球観戦のVIPルームの案内を会員限定にポスティングするときは、会員の個人宛の住所に案内状を投函するので「配付」を使用することが適切です。

同じポスティングでも配る対象が特定の人か不特定多数の人かによって、使用する類語を使い分ける必要があるので要注意です。

その他ポスティングの類語の意味を紹介

ポスティングで「配布」や「配付」以外の類語には、頒布(はんぷ)と配賦(はいふ)があります。

2つとも「配る」の意味ですが、使うシーンは少し限定的です。

それぞれの用語の意味と使い方を説明します。

・頒布の意味
・配賦の意味

頒布の意味

頒布は「配布」の類語で「広くに配る」意味で使いますが、「配布」が無料で配ることに対して有料で配る意味も含んでいる点で「配布」とは異なります。

頒布を使った例文には「神社でたくさんのお守りが頒布されていた」や「社内の頒布会から漢方薬をもらった」などがあります。

他にも「産地直送の地元の名産品が頒布されるイベントに参加する」など、頒布は無料の場合よりも有料で物が配られる意味で使う方が一般的です。

さらに頒布の類語には「公布」があります。

公布は、国や地方公共団体が国民や市民に対して法令等を伝えることです。

例文としては「議会で可決した新法案を公布する」などがあります。

配賦の意味

配賦は「割り当てる」「配る」の意味ですが、ビジネスにおいて特定の製品や部門によって直接発生した経費ではない共通経費などを、企業の定めるルールに従って経費を配分する意味で使うことが一般的です。

例えば、全国に飲食店を10店舗持つ企業が店舗にかかった共通経費を10店舗に配賦することで、各店舗ごとの財務管理ができます。

配賦を使った例文には「配賦基準に基づいて製造にかかる間接費を計算する」「従業員全員に旅行会費の負担金を配賦する」などがあります。

さらに配賦の類語には「配分」や「分配」があります。

配分とは分け前などを割り当てて配ることを意味し、あるものを数人で分け合うときの取り分の割合を重視した言葉です。

一方、分配とは分けて配ることで「分ける行為」自体を重視しています。

「配分」の例文としては「利益が出れば5人に利益の10%ずつを配分します」や「ペース配分を考えて投球に臨まないと完投できない」などがあります。

「分配」の例文としては「もらった食料をみんなに分配する」や「高い分配金を目当てに外国株式に投資する」などがあります。

ほかにも、ポスティングは受け取り拒否されないため配布率が高いことや、ビラ配りはある程度ターゲットを絞ってチラシを配れるなど、類語として一見似ているポスティングとビラ配りについて比較した記事も作っています。

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ポスティングの類語は「配付」と「配布」のどちら?2つの意味について解説まとめ

・ポスティングは不特定多数の家に配る行為であるため、類語は「配布」を使うことが適切です。

・ポスティングであっても、特定の個人宛に配るなど相手が限定される場合には「配付」を使うことが相応しいです。

・ポスティングの類語には「配付」や「配布」以外にも「頒布」や「配賦」といった用語も使用できますが、両者を使うシーンは限定的です。

 

 

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渡辺 修平(Shuhei Watanabe)
渡辺 修平(Shuhei Watanabe)