チラシは、ほんの数秒で興味があるかどうかを判断されるため、チラシに目を止めて読んでもらうには、瞬間的に見た人の関心を引く必要があります。
そこで工夫したいのが、ポスティングチラシに書かれる「文字数」です。
脳の仕組み上、人間は一気に多くのことを覚えていられません。
印象に残るチラシ作りに活用でき、科学的裏付けのあるマジカルナンバーについてと、それを活かして、評判の良いポスティングチラシ作りをする方法について解説します。
ポスティングチラシの評判は文字数で決まる!マジカルナンバーとは?
マジカルナンバーとは心理学を応用したもので、人が覚えやすい物事の数、記憶できる量には限りがあることを人間の短期記憶のメカニズムの観点から説明しています。
短期記憶とは数十秒経つと忘れてしまい、長時間覚えておけない記憶ですが、繰り返し声に出したり紙に書いたりすれば、長く留めておくことが可能です。
ビジネスシーンやマーケティングにおいては、プレゼンテーション、広告戦略、ソフトウエア開発、ライティングなど幅広く活用されています。
他にも、記事を見出しで分けることや、お店のメニューをカテゴリ分けして選択肢をわかりやすくする方法にも活用されています。
ポスティングチラシの評判は文字数で決まる!マジカルナンバーは2種類
マジカルナンバーには「マジカルナンバー7±2」と「マジカルナンバー4±1」の2種類があります。
例えば7という数字は、「○○の7つの法則」のように、あらゆる本のタイトルにも転用されており、4という数字は「○○の4原則」や「○○四天王」「四大〇〇」ように使用されています。
ここでは、2種類それぞれの概要やメリット・デメリットを説明します。
マジカルナンバー7±2
1956年、ジョージ・ミラー教授(アメリカの認知心理学者)の論文で提唱された考え方で、人が短期的に覚えていられる物事は5個~9個が限界だと唱えたものです。
さらに記憶の単位として、塊を意味する”チャンク”という概念が用いられています。
チャンクをカレーの材料で説明すると、例えば、カレールー、豚肉、玉ねぎ、人参、ジャガイモ、ナス、福神漬けを買い出しに行くとき、何とかメモをしなくても覚えていられそうです。
なぜなら、1文字ずつ記憶しようとすれば30文字となるため、30個の塊を覚えないといけず膨大な量となってしまいますが、材料の種類で区切れば塊は7つとなるからです。
他にも、「博多豚骨ラーメン」を「はかたとんこつらーめん」と11文字で認識するのではなく「はかた」「とんこつらーめん」で分け、3文字と8文字の2つに分けて認識しますし、人の名前も一文字ずつ覚えるのではなく、姓と名の2つの塊で記憶します。
このように人は情報をまとめて、記憶する量を節約するようにしているのです。
マジカルナンバー4±1
2001年、ネルソン・コーワン教授(アメリカの心理学者)が発表した研究結果に基づいた考え方で、人が覚えていられるのは3~5個と唱えています。
マジカルナンバー4±1でもチャンクの考え方が踏襲されています。
例えば、「1000000円」と「1,000,000円」だと、後者の方が3桁ずつカンマが入ることで、一目で「100万円だな」と直感的に分かりやすくなります。
他の例を挙げると、プレゼンテーションの一般的な方法に「ポイントは3つあります」と、あらかじめいくつ覚えればよいのか伝える方法があります。
長い説明でもポイントを3つに絞ることで、話の内容が伝わりやすくなるためよく使われています。
まとめてよい情報や塊はいくつあるのかを、あらかじめ認識した上で話を聞けるため、聞き手の記憶を助けます。
つまり、チラシもマジカルナンバーやチャンクの概念を意識し、記憶してもらいたい情報の数を3つ前後にすることや、文字数や単語の数を少なくまとめることで、見た人の記憶にチラシの情報が残りやすく、結果として評判の良いチラシにできるのです。
2つのマジカルナンバーの違い
この2つのマジカルナンバーのメリット・デメリットを整理してみましょう。
マジカルナンバー7±2 | マジカルナンバー4±1 | |
メリット | 説得力・権威性が示せる
独自性を出しやすい |
覚えやすい
簡便性を感じやすい |
デメリット | 覚えにくい
離脱しやすい |
差別化しづらい
情報を絞るセンスが必要 |
マジカルナンバー7±2は5~9つの情報にまとめられるので、説得力と権威性が増し、独自性もアピールしやすくなります。
しかし情報量の多さからポイントがぼやけ、覚えにくいと感じる人もいるため、離脱されやすいといったデメリットがあります。
マジカルナンバー4±1は3~5つと数が少ないので、シンプルで覚えやすく、簡便性を感じやすくなります。
一方で他との差別化が難しくなる傾向があり、情報を効果的に絞るセンスが必要になります。
ポスティングチラシにマジカルナンバーを活用する場合のポイント
では、マジカルナンバーの考え方を活用してポスティングチラシの評判を上げるには、どのようなポイントがあるのか3点説明します。
訴求ポイントを3~5つに絞り込む
ポスティングチラシの場合、説明したい内容が多くあるからと情報を盛り込むのは得策ではありません。
マジカルナンバー4±1を活用して、3~5つに訴求ポイントを絞り込みましょう。
訴求ポイントとなる内容は商品やサービスにもよりますが、他と違う特徴、新しくなったこと、価格、限定的なこと(期間・数量)などが挙げられます。
さらに具体的に訴求するポイントを挙げると、安さ、軽さ、大きさ、見た目、カラーバリエーション、肌触り、安全性、新しさ、効果、原料、素材、耐久性などがあります。
文字数や表現をチャンクとして認識できるようにする
専門用語の羅列や長々とした文章表現は避け、相手が理解できる言葉への置き換えをした上で、記憶容量を極力使わない表現をすると、チラシの訴求力が高まります。
見出しや文章で使う単語は短くわかりやすいものを選ぶことや、同じ意味を伝える文章でも端的でわかりやすい構成をすることで、記憶しやすくインパクトのある文章になります。
例えば、本の表紙に「ゴルフが上達する正しいやり方を現役のプロが網羅的に説明!」と書かれていた場合、長々しい文章との印象を受けてしまい情報が記憶されにくくなりますが、「プロが伝授!ゴルフの上達バイブル」とすれば、「!」やカタカナが視覚的に単語の切れ目を作りチャンク化されるため、情報が記憶されやすくなるのです。
チラシの雰囲気に合わせて、表現をまとめたり、反対に分解したりする方法も効果的です。
具体的には、端的に伝えるために四字熟語を用いて「老若男女」と1つの単語にまとめて表現する場合、記憶の数を増やしますが易しく「おじいちゃん、おばあちゃんからお子さままで」と3つの単語に分解して表現する場合があります。
ターゲットとする読み手に、情報やメリットが伝わりやすい簡潔な表現を考え、文字数やチャンクの数を意識した言葉選びをすると、覚えてもらいやすいチラシになります。
訴求ポイントの優先順位を検討する
3~5つに絞った訴求ポイントのうち、相手にとって最も嬉しいこと・助かるポイントは何か、どの順番でアピールすると良いかを検討します。
お客さんはどこを一番気にするのかを考えて、優先する訴求ポイントを際立たせましょう。
売り手側の視点と買い手の視点はどうしてもズレやすいので、顧客の声を聞き検証する方法は有効です。
ポスティングチラシの評判は文字数で決まる!マジカルナンバーについて解説まとめ
・マジカルナンバーとは、研究結果から人間が短期記憶できる量は7つ前後、あるいは4つ前後とする2つの考え方のことです。
・情報量が7つ前後だと情報量が多く説得力が増し独自性を出しやすくなるメリットがあり、4つ前後だと覚えやすく簡便性を感じてもらいやすいことがメリットです。
・ポスティングチラシでは訴求ポイントを3~5つに絞り、塊として捉えながら読める文章表現をすることで情報が伝わりやすくなります。
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